「個人輸入薬を使う危険性!」
2022.09.30
男性型脱毛症(AGA)は、進行型の脱毛症のため治療薬を使って進行を抑えていても薬の使用をやめると症状が出て薄毛になってしまいます。
国内販売のAGA治療薬で治療を続けるのは、コスト的に負担になるため個人輸入をして治療薬を手に入れている人も少なくありません。
しかし、個人輸入薬を使うのには、たくさんの危険があります。詳しく見てみましょう。
個人輸入とは
個人輸入とは、医薬品・医薬部外品・医療機器・化粧品などを個人使用の目的で購入することを言います。手段としては、海外の通販サイト・海外のメーカーの販売サイト・個人輸入を扱う代理店からの購入が一般的です。
これは、厚生労働省でも2012年に薬事法が改正され「医薬品等の個人輸入について」で認められています。
しかし、個人輸入を行うと様々なリスクがあります。
個人輸入で購入できるAGA治療薬の種類
日本で販売が許可されているのは、内服薬としてフィナステリド錠(プロペシア)・フィナステリドのジェネリック品・デュタステリドとなります。
海外製のAGA治療薬には、さまざまな種類があります。
・フィナステリド錠の海外製
アメリカ製プロペシア(USA版・オーストラリア版・タイ版)・イギリス製プロペシア(アメリカ版・トルコ版)・ニュージーランド製プロペシアの6種類あります。生産国が同じでも、販売市場が違うものは金額が安く手に入れることができます。
・プロペシアのジェネリック医薬品
フィナロイド・フィンペシア・エフペシア・フィナロ・フィナバルドの5つです。中でもフィナロは金額が安く人気があります。
・デュタステリドの海外製品とそのジェネリック医薬品
アボダード・デュタスの2種類でデュタステリドは、最近日本で認可された薬のため輸入薬と比べると価格の差は大きくなってしまいます。
・海外製の前立腺の治療薬とジェネリック医薬品
プロスカー・フィンカーの2種類です。フィナステリドなどの成分が入っているので同じくくりで販売されていることがあります。
フィナステリド量が5mg入っており、国内で推奨されているフィナステリド量である0.2mgまたは、1.0mgと比べると5~25倍の強さのため、使用はオススメしません。
・ミノキシジルの内服薬(ミノキシジルタブレット)
外用薬と違い、身体への影響の大きさから日本皮膚科学会のガイドライン推奨度はD「行うべきではない」とされていますが、ミノキシジルタブレットを手に入れることができます。
ミノキシジルタブレットと呼ばれていますが、ミノキシジル成分が含まれた内服薬の正規医薬品であるロニテンは購入が困難になっています。ロニテンのジェネリック医薬品のノキシジル・ディルミノックス・ロニタブミノキシジルタブレットUSPの4種類を購入することができます。
日本で手に入れたい場合は、取り扱いのあるAGA専門のクリニックでのみ処方してもらうことができます。
・ミノキシジル成分が含まれた外用薬
ミノキシジルが含まれた外用薬は、ロゲイン・フォリックス・カークランド・ポラリス・ジェンヘアー・アクタビス・爆毛根・ドクターゼロなど多くの種類が存在します。
ミノキシジルの濃度が濃いものやその他の育毛成分を配合したもの、浸透にこだわったものなどさまざまです。
個人輸入で購入できるAGA治療薬の種類をご紹介しましたが、これらの海外の治療薬の場合、国内の薬と比べて成分が多く含まれているものが多いです。
成分が多く含まれていると効果も大きい可能性はありますが、身体への影響が大きく出てしまうことがありますので使用する際には十分な注意が必要です。
メリットは日本では服用できない成分の薬が買える
海外では発毛効果がある薬を日本にいながらにして手に入れることができます。内服薬で代表的なものとしてミノキシジルタブレットがあげられます。ミノキシジルタブレットは、降圧剤としての認可はされていますが育毛剤としての認可はされていません。
許可のない薬ですが、発毛効果が認められているためクリニックでは医師の判断の元で処方してもらうことが可能です。身体に合っているかどうかをみながら使用することができます。しかし、個人の判断で使用するのは危険が高いといえます。
AGA治療薬を個人輸入で購入するデメリットについて
同じ成分の薬を安く手に入られるのにデメリットなんてあるの?と思う人もいるかもしれません。でも、同じ成分の薬として売られているからと言って、中身まで日本製のものと完全に同じではないのです。
個人輸入でAGA治療薬を購入するデメリット・危険性をいくつかあげてみましょう。
輸入薬は偽造品の可能性がある
個人輸入の代行サイトなどによっては、偽造された薬などを購入してしまう可能性があります。WHOによると現在世界に流通しているフィナステリド錠のプロペシアは、10%存在するとされています。
偽物のプロペシアは、フィナステリドの成分が少ない、または入っていない、逆にフィナステリドの成分が多く入りすぎている、発がん性物質が入っている、純度が低く雑菌やゴミなどが入っているなどの可能性があります。
さらに、コーティングがしっかりとされていない場合もあり、その場合経皮吸収によって女性の体内に入ってしまうこともあるのです。
輸入薬には品質が悪い粗悪品もある
日本製というのは、何においても品質がいいとされています。体内に入れる薬で品質が悪いものだったら怖いものです。アメリカやヨーロッパで作られたものは大丈夫だと言われていますが、新興国製の輸入薬の品質は、先進国と比べると低いことが多いのです。
安い輸入薬の場合、生産国が新興国の可能性は否定できません。例えばインドの後発製薬メーカーであるランバクシーは、2012年にインド国内で5位、世界で9位のメーカーでしたが、第一三共に買収されたのち、品質管理のずさんさからアメリカ食品医薬品局(FDA)により輸入禁止措置を受けました。
その後、和解したものの2013年にふたたび輸入禁止措置を受け、さらに2014年には輸入禁止対象が拡大された他、試験結果の改ざんが行われていたことも明らかとなりました。
このように大手である製薬メーカーでさえ、品質の管理はできていないのです。成分が安定していなかった、別なものが混入していた場合、身体に負担がかかりますし、発毛効果にも疑問が生じてしまいます。
体への異変の原因がわからなくなる
輸入薬を服用していると本来の薬剤で起こる副作用が出ているのか、混入していた別な成分のせいで起こっているのかわからなくなってしまいます。
また、成分や品質がきちんとしていたとしても治療薬が体質に合っているのか、体への影響はどのように出ているのかなどを調べるため服用してから3ヶ月前後での体調変化をクリニックで診てもらうことが大事です。
重篤な副作用が起こる可能性がある
医師に相談せずに自己判断で輸入薬を購入した場合や日本未認可の輸入薬などを使用した場合は、重篤な副作用が起こる可能性も否定できません。
特に薬を服用してアレルギーが出たことのある人や過去にAGA治療薬によって服用を中止するほどの副作用が出ていた人などには、絶対におすすめできません。
AGA治療薬ではありませんが、個人輸入した薬を服用して過去に亡くなってしまったケースもあります。
説明が外国語のため理解ができない
外国の治療薬を輸入して手に入れるため薬の説明は、全て外国語です。用法・用量・使用方法や他にどんな成分が含まれているか、どれくらいの濃度で成分が含まれているのかを理解できない場合があります。
さらに、説明書を理解できたとしても日本と同じ正確さで副作用などについて記載されていない場合もあります。
このように、医師や薬剤師の指導がないまま薬を服用できてしまうので間違った服用方法をしてしまう可能性もあります。また、自分の体を検査しないまま健康だと思い込んで輸入薬を使用して体調を悪化させてしまうこともあります。
個人輸入薬よりクリニックでの処方が安心で安全
個人輸入薬は、薬代が安いため継続して服用しなくてはいけないAGAの人にとってとても魅力的です。しかし、デメリットがあまりにも深刻です。
どうしても個人輸入薬を使用したいという場合は、治療薬への知識をしっかりと深め副作用について知っておくこと・健康被害が出てしまうかもしれないという覚悟が必要です。さらには、有害な不純物が混入している可能性も否定できません。
個人輸入代行サイトで購入する場合にも注意事項として何度も自己責任であることが表示されます。
信頼できる個人輸入代行サイトをみつけて利用したとしても「副作用や健康被害のリスクの可能性がある」とわかったうえで、自己責任で薬を購入するというのはとても勇気がいります。
プラセボ効果(偽薬による副作用)のように、自己責任で服用することによって引き起こされる副作用の症状もあるでしょう。個人輸入薬を使うには、十分な下調べや、覚悟が必要です。
ここまでにいくつか危険性をあげてみました。お金を節約して髪に効果がなく、さらには健康を害してしまったら元も子もありません。
安易に輸入薬に頼るのは、デメリットが多く危険性が高いのです。やはり、クリニックで医師に相談できる環境、AGA治療薬を使用するのが一番安全で安心です。
まとめ
AGA治療に個人輸入薬を使うことの危険性についてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。今では薬や化粧品など気楽に個人輸入できる時代になっています。個人輸入代行サイトなどを使えば、普通の通販サイトのように購入できてしまいます。
しかし、いくら安くても身体に合わない場合や副作用、また、効果のない薬の可能性も否定できません。
クリニックではAGAについて専門に勉強をした医師が、その人それぞれに合った治療法と薬の成分・分量の処方を行います。
安さにつられて安易に輸入薬を使用することでさまざまな面で後悔してしまわないために、クリニックに相談して自分に合った治療方法を見つけていきましょう。
※参考サイト
・一般社団法人 偽造医薬品等情報センター「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」