「リアップとクリニック治療を併用できるか」
2022.09.30
リアップは、大正製薬から発売されている育毛剤で男性型脱毛症(AGA)に効果がある成分として日本皮膚科学会のガイドラインでも推奨されている「ミノキシジル」が含まれた唯一の市販育毛剤です。
今回は、テレビCMや広告などでよく目にするリアップは実際どのようなものなのか、また、クリニック治療で処方される育毛剤とはどこが違うのかなどについて詳しく見てみましょう。
リアップに書かれている壮年性脱毛症とは何か?
壮年性脱毛症とは
リアップは、「壮年性脱毛症における発毛、育毛及び脱毛(抜け毛)の進行予防」のための商品とサイトに記載されています。
ミノキシジルは、日本皮膚科学会では男性型脱毛症(AGA)に効果があるとされているのにそのミノキシジルが含まれているリアップには、壮年性脱毛症に効果があるとして表記されています。これはどういうことなのでしょう。
まずは、壮年性脱毛症とはどういうものなのでしょうか。大正製薬では、壮年性脱毛症のことを「一般的に遺伝性の薄毛又は抜け毛でゆっくりと何年もかかって進行し、目立つようになるもの」「徐々に進行する家族性のもの」としています。
壮年期は、人生を年齢で区分したもので厚生労働省の資料である『健康日本21』などでは人の一生涯を「幼年期」「少年期」「青年期」「壮年期」「中年期」「高年期」と区分してさらに壮年期は働く時期であるとしています。また、辞書によると「壮年」とは、一般的に25~44歳とされています。
壮年性脱毛症と男性型脱毛症の違いについて
男性型脱毛症は思春期を過ぎてから症状がではじめるとされていますが、年代によって分類されています。壮年性脱毛症の場合は、40~50代の人のことを指しています。
日本皮膚科学会のガイドラインによると40代の男性の30%、50代以降の男性の40%以上が男性型脱毛症ですので薄毛に悩む40~50代の男性の半数が壮年性脱毛症であり、男性型脱毛症だと言えます。
また、10~30代の男性型脱毛症のことを「若年性脱毛症」と言います。こちらはガイドラインによると20代で10%、30代で20%が男性型脱毛症を発症しています。
これらの割合から10~30代男性の薄毛の場合、他の原因として脂漏性湿疹やストレス、肝機能障害や糖尿病などの内臓の疾患、免疫系や甲状腺ホルモンの疾患が原因である可能性も考えられます。
自己判断で男性型脱毛症(AGA)と思って育毛剤を使うのは避け、クリニックに相談した方がいいでしょう。
リアップについて
リアップの効果とは?
大正製薬の壮年性脱毛症のための育毛・発毛シリーズです。再び髪の毛が復活するという願いが込められてブランド名がつけられています。
ラインナップとしては、ミノキシジルが配合された育毛剤とその他にシャンプーやクレンジングなどのプレリアップシリーズ、マッサージ用のヘアトニックのフレッシュリアップがあります。
ミノキシジルが配合されているものは、「リアップX5プラス」「リアップジェット」「リアップ」「リアッププラス」そして女性用の「リアップジェンヌ」があります。リアップX5プラスはミノキシジルを5%配合しており、他の製品はミノキシジルが1%配合されています。
大正製薬の実験でもリアップX5プラスを長期使用した9割以上が、24週間後である約6ヵ月後には「軽度改善」「中等度改善」「著明改善」の結果が出ています。6ヶ月使用して効果が感じられない場合は、クリニックや専門医に相談することをオススメしています。
ミノキシジルが脱毛改善に効果のあるしくみ
ミノキシジルは、血管拡張作用がある成分で抜け毛・薄毛部分の頭皮の血流改善に効果があります。血流が改善することで細くなった毛細血管から毛根に栄養がゆきわたり、髪が丈夫に育つことができます。
また、毛法に作用して毛母細胞を活性化させ発毛を促します。また、毛細胞のアポトーシス(自壊)を抑制するため髪の成長期が長く続き、太くしっかりとした髪の毛が生える効果を引き起こしています。
リアップの購入方法
ミノキシジルが配合されたリアップは、どこで手に入れられるのでしょうか。購入方法としては第一類医薬品ですので処方箋は不要ですが、薬剤師のいる薬局であれば購入が可能です。薬剤師による注意事項や説明、健康状況の確認などをされます。
または、インターネットでも注文が可能です。この場合は、店舗からのメールなどによる確認があり回答を返信した後に注文確定となります。お店で購入するところを人に見られたくないという人には、オススメの方法です。
ミノキシジル成分が含まれたリアップは、発売当初から色々なうわさが流れていました。副作用など使用について不安がある場合は、薬局で薬剤師さんと話をして購入されるといいでしょう。
リアップの副作用について
リアップの副作用による事故?
リアップを使用したことによる副作用で亡くなった人がいるというニュースがあり、リアップの副作用は恐ろしいという噂があります。
1999年9月26日、新聞等にて「一般用医薬品の副作用と疑われる死亡例が、過去3年間に10例、厚生労働省に報告されていた。うち3例がミノキシジル製剤を使用していた方だった」という報道がありました。
しかし、当時リアップを使用していたのは100万人とされており、リアップに含まれるミノキシジルの副作用だけでなくなったとは考えにくいと言えます。
厚生労働省でも、「副作用の可能性は低い」と正式にコメントが出ています。また、アメリカで実施されたミノキシジル製剤の使用者と未使用者を3年間調査した結果からもミノキシジルによって心臓などへの副作用が引き起こされるという関連は低いことがわかっています。
2000年には製品パッケージに注意喚起を表示し、薬剤師や薬局に使用する際、既往歴の確認を徹底してもらうなどの対応をしたためそれ以降重篤な副作用を起こしたという症例は出ていません。
リアップ使用による副作用について
リアップの副作用は、頭皮の発疹発赤・かゆみ・かぶれ・ふけ・使用部位の熱感・頭痛・気が遠くなる・めまい・胸の痛み・心拍が速くなる・体重増加・むくみなどがあげられています。
また、以前に化粧品によるアレルギーが出た人・心臓や腎臓に障害のある人・元からむくみのある人・家族に壮年性脱毛症の人がいない人・65歳以上の高齢者・甲状腺機能障害などの疾患がある人やミノキシジル成分が本来高血圧の薬だったことから高血圧・低血圧の人は、使用前に相談をするように記載されています。
他に未成年の使用やミノキシジル成分によりアレルギー症状を引き起こしたことのある人、円形脱毛症や甲状腺疾患による脱毛症、原因のわからない脱毛症の場合は使用しないようにとなっています。
リアップX5プラスの場合は、ミノキシジルの配合成分が多いため女性も使用しないように記載してあります。
とはいえ、ミノキシジルの成分は、内服薬よりも副作用が少ないため男性型脱毛症の治療・改善のために使用しやすい製品です。
皮膚の弱い人は、ミノキシジルの成分だけではなく、防腐剤や乳化剤によってかぶれが引き起こされてしまうこともありますので、何によって引き起こされたかを自己判断するのは難しいかもしれません。その場合は、クリニックに相談することをオススメします。
初期脱毛について
ミノキシジルの効果が表れてきたサインとして初期脱毛があります。個人差がありますが、使用開始から2週間~1ヶ月ほどで現れ10日~2週間程度抜け毛が増えます。その後、強くて太い髪が生えてくるための儀式だと思ってやり過ごしましょう。
人によっては初期脱毛が起こらない人もいますし、初期脱毛だと思ったらミノキシジルが肌に合わず炎症などによって起こる抜け毛だということもあります。
頭皮の状態をよく確認し、また脱毛の開始時期があまりにも早い・脱毛の期間が長いなどの場合は、クリニックに相談しましょう。
リアップを使用しながらクリニック治療を併用することは可能なのか
リアップとクリニックでの治療の併用について
クリニックに通うほどではと考えていて薄毛が気になっている人に使いやすいのがリアップです。効果があるという臨床結果も出ていますが抜け毛の進行度合いなどによっては効果を感じられない場合もあり、そうなったときにクリニック治療を検討する人が多いでしょう。
クリニックで薬を処方してもらったら今使っているリアップはやめなくてはならないのでしょうか?やめた場合、リバウンド脱毛は?など不安になってしまうことでしょう。
クリニックにかかる際、リアップを使っていることを伝えれば外用薬はリアップを継続させてもらえるところもあります。また、ミノキシジル外用薬を処方するクリニックの場合は、処方薬に移行していく方法もあるので使用をやめることによるリバウンド脱毛の心配は不要でしょう。
デュタステリドやフィナステリド成分の内服薬を処方し、併用してミノキシジルを併用するのは男性型脱毛症の治療としては効果的とされています。
デュタステリドやフィナステリドは、5αリダクターゼを阻害して男性ホルモンジヒドロテストステロンを生産されなくする作用があるため髪の成長サイクルを正常化させて髪の毛を抜けにくく抜け毛を減らしていきます。
リアップをはじめとしたミノキシジル外用薬は、頭皮の血行を促進することなどの効果や毛母細胞を活性化させることによって発毛を促し、育毛効果を発揮します。これらの薬を併用したことで特別な副作用が起こるわけではなく、抜け毛を減らして発毛を促すという相乗効果でより一層治療に効果が出るとされています。
多くのAGA治療を行っているクリニックであれば、内服薬と外用薬の併用は一般的で高い効果を得ることができる効率的な治療法とされています。
ただし、ミノキシジルの内服薬とリアップの併用は同じ成分を過剰摂取してしまうことになります。
クリニックと相談の上使用する場合は濃度なども考えられているので大丈夫でしょうが、身体に影響が出てしまうことを避けるためクリニックにリアップの使用を伝えず自己判断で併用しないようにしましょう。
以上のことから、クリニックに処方してもらう内服薬がデュタステリド・フィナステリド・ミノキシジルタブレットのどれであったとしても身体への影響や安全性の確保を考えるとリアップを使用していることは、クリニックに報告した方が安心です。
リアップとクリニックで処方されるミノキシジル外用薬との違いとは
ミノキシジルが含まれたリアップとクリニックで処方されるミノキシジル外用薬ではどこが違うのでしょうか?それは、ミノキシジルの含有量です。
薬局で購入できるリアップは、日本皮膚科学会のガイドラインで推奨されている5%と1%の濃度で販売されています。
クリニックでは、低濃度のものもありますが、6%以上のミノキシジル成分濃度の外用薬なども処方してもらうことが可能です。既存の外用薬を処方されることもありますが、その患者さん一人一人に合わせた含有濃度で処方してもらえるクリニックもあります。
ミノキシジル濃度の高い外用薬は個人輸入代行サイトなどで外国のものを購入することも可能ですが、副作用など体への影響が全くないとは言えませんし、また、個人輸入で購入した場合、偽物である可能性や不純物が混入している可能性なども否定できません。
生産国によっては信頼できるものもありますが、それらが本物かを見分けることも難しく正規品だと思って使用して身体に別な害が及んでしまうことがあります。高濃度のミノキシジルが含まれたミノキシジル外用薬を使用したい、リアップでは効果が感じられないという場合は、クリニックで診察・処方をしてもらいましょう。
まとめ
リアップの使用とクリニック治療についてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。もしも今、リアップを使用しながらクリニックへの相談を悩まれているのであれば、思い切って相談してみることをオススメします。
また、リアップで発毛効果をあまり感じられないという人もクリニックでは高濃度のミノキシジル外用薬を処方してもらうことが可能です。ぜひ相談してみてください。
毛穴の毛母細胞が死滅してしまっては、ミノキシジルの効果も意味がなくなってしまいます。思い立ったら早めに行動されることをオススメします。